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  (いや)  それが一番時間がかかって面倒くさいんだってば、という言葉が、彼方以外の、誰しもの胸に浮かぶ。  だが実際声にして言う者はなく、さっと彼方から目を逸らして俯いてしまう。  …時間と、面倒がかかる仕事なんかしたくない、けれど。  実はそれが一番大事で、仕事の要になるのだと、分かっていても。  やりたくないことはやりたくないし、しんどい思いはしたくない、という気持ちを、大学生で、しかも一介のインターンである彼方に見透かされている気がした大人たちが沈黙する中、 「時間があるボクに…任せてもらえる仕事を、与えていただけませんでしょうか?」 と、周りの大人たちの顔色を窺う言葉を口にした。 .
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