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21 姫始め
「そろそろ日付が変わるな」
藤也さんの言葉に時計を見たら、あと二十分くらいで十二時になるところだった。いつもなら寝ている時間だけど、今日はたくさん昼寝をしたから全然眠くならない。
だからお笑い芸人が出ている番組とか歌番組とか、いろんなテレビをぼんやり眺めていた。藤也さんは隣でずっとお酒を飲んでいる。「いつか一緒にお酒を飲めるといいな」と思っていたら「こっち向け」って言われてキスをされた。
「これから始めりゃあ、姫始めになるな」
「ひめはじめ、」
またわからない言葉だ。俺の知らないことをたくさん知っている藤也さんは、やっぱりすごい。そんなことを思いながらかっこいい顔を見ていたら、藤也さんがニヤッて笑った。
「おまえ、姫始めって意味わかってねぇだろ」
わからないから、うんって頷く。
「新年一発目にするセックスを、姫始めって言うんだよ」
「ふひゃっ」
急に抱き上げられて変な声が出てしまった。慌てて藤也さんの首に抱きつきながら、言われたことを考える。
(新年一発目の、セックス)
明日から新しい年になる。藤也さんが「正月はゆっくりするぞ」って言っていたお正月だ。
「まぁ本来の意味はいろいろあるんだろうが、んなこと気にして使う奴なんて、いまどきいねぇしな。新年一発目のセックスって覚えてりゃいい」
「うん」
「ってことで、せっかくだから日付またぎながらセックスするか」
ベッドにポフンって置かれた俺の上に、かっこよく笑っている藤也さんが乗っかた。
温泉旅館では浴衣を着る。浴衣を着るときにはパンツは穿かないんだって藤也さんが教えてくれた。だから浴衣をペラってめくるだけで、すぐに俺のちんこが見えてしまった。
「んっ」
俺のちんこを擦っていた手が、今度はお尻の中に入ってきた。いつもは一本ずつ増やしていくけど、今日は温泉でたくさんいじったからか最初から二本入ってきた。指が動くとグチュグチュ音がするのはジェルを塗ってくれているからだ。
(ケガしないようにしてくれるのは嬉しいけど)
でも、今夜はすぐに入れてほしかった。温泉でたくさん擦られた中はすぐに熱くなって、早く入れてほしいってキュウキュウしている。
「本当に物覚えがいい体だな」
そう言って藤也さんがほっぺたにキスしてくれた。それからハンドクリームみたいなチューブを持って、中身を手に出している。
(いつもと違う匂いだ)
いつもはオレンジジュースみたいな匂いがするジェルだけど、これは花の匂いがする。それを藤也さんの指がお尻の中にグチュグチュ塗り始めた。
「ん……ぅ」
ダメだ、もうガマンできない。そう思って腰をカクカク動かし始めたとき「ほら、入れてみろ」って声が聞こえた。
(今日は、俺が乗っかる日なんだ)
起き上がって藤也さんを見る。藤也さんも下着を穿いていないから、浴衣の間から大きなちんこがにょきって見えていた。
「前に教えた背面座位、やってみろ」
忙しくなる前に、藤也さんに背面座位って方法を教えてもらった。一回しかやってないけど、ちゃんと覚えている。
背中を向けた俺は、一度膝にお尻を乗せてから藤也さんの太ももを掴んだ。そうしてお尻を上げて、失敗しないようにゆっくりと下ろしていく。藤也さんが尻たぶをグッと広げてくれているから、あとはこのままちんこが入るように下ろすだけだ。
「んっ」
最初はちょっとだけ苦しい。でも、一番大きいところが入ればあとはズブゥって入ってくれる。
「ふ、ふ、」
「おー、うまく飲み込むようになったなぁ」
「俺、うま、い?」
「俺のペニスを咥えるのは、上も下も蒼が一番だな」
一番って言われたのが嬉しくて、お尻がきゅうってなった。きゅうってなると苦しいけど、全部入れたくてゆっくりとお尻を下ろしていく。そうしたらフサフサした毛がお尻に触った。
(……半分以上は、入ったかな……)
あと半分だと思ったところで、下からズボッと押しつけられて「ひぃ!」って声が出てしまった。
「おー、ほとんど入ったな」
「ひ、ふ、ふ、」
「見てみろ。腹が俺ので膨らんでるぞ」
「ふ、ぅ、」
撫でられている自分のお腹を見た。おへその下あたりがポッコリしている。
「初めての姫始めだしなぁ。それにザーメンのプレゼントもあるし、たっぷり気持ちよくなろうな?」
(いま、ザーメンのプレゼントって、言った……?)
クリスマスにくれるって言っていたけど、俺が寝てしまったからもらえなかったものだ。そのあと藤也さんが忙しくなって、結局そのままになっていた。それを、いまくれるってことなんだろうか。
(……ゴムの袋が、ない)
いつもならベッドのどこかに捨ててあるのにどこにもなかった。そういえば俺が後ろを向く前もゴムはしていなかった。ってことは、いま俺のお尻に入っているのは藤也さんの生のちんこだ。
「ふ、ふ、ぁ、あ、」
急にお腹がきゅんきゅんしてきた。動いていないのに気持ちがよくなってくる。
「おーおー、必死にしゃぶり出しやがって。おまえのここ、ケツマンコっていうよりまんこじゃねぇか。ってことは、奥には子宮があるかもなぁ」
「しきゅ、」
「俺のザーメンをたっぷり飲み込むところだよ」
しきゅうっていうのが俺のお腹にあるかはわからない。でも、あるような気がしてきた。だって、藤也さんのザーメンがほしいってお腹が言っている。だからこんなにグニュグニュ動くんだ。
「しきゅぅ、に、ザーメ、ほし、ザーメン、しきゅぅに、ちょうだぃ、」
「わかってる。もう飲めないってくらい、いっぱい飲ませてやるよ」
「うれし、いっぱい、ちょうだ、」
ちょうだいと言い終わる前に顎を掴まれて後ろを向かされた。そうしてガブッて感じのキスをされた。
(早く、早く)
首が苦しいけどキスはしたい。キスもしていたいけど、早くザーメンがほしい。気がついたら変な格好のまま腰をゆらゆら揺らしてしまっていた。
「本当にエロくなったなぁ」
口を離した藤也さんが、笑いながらグイッてちんこを奥に入れた。
「ひっ!」
それからたくさんグリグリされた。熱くて浴衣を脱ぎたかったけど、藤也さんが「浴衣の着衣エロも温泉旅館の醍醐味だ」って言うから脱ぐことができなかった。藤也さんも浴衣を着たまま腰をグイグイしてきて、同じくらい乳首を摘んだり引っ張ったりしている。
「んぁっ」
奥をグリグリされて、俺のちんこからまたピュッてシオが吹き出した。
「ペニスをちょっと動かすだけで潮吹くなんて、最高に可愛いじゃねぇか」
「も、でにゃ、」
「出なくても構わねぇよ。さっきからほとんどメスイキだろ」
「おく、もぅのめな、」
「大丈夫、大丈夫」
そう言いながら、またちんこをグイッて奥に入れてくる。もう出ないって思っていたのに、俺のちんこからはまたピュピュッてシオが噴き出した。
(気持ちいい、けど……も、お腹、いっぱいに、なってきた)
俺は体が小さいから、しきゅうも小さいんだと思った。せっかく藤也さんがザーメンをたくさんくれるのに、すぐにお腹いっぱいになって飲めなくなってしまう。
「あと二、三回は飲めるな?」
「でちゃ、ぅ、かりゃ」
「漏れても新しいのを飲ませてやるよ」
「おにゃか、いっぱ、のめにゃ、いっぱぃ、だかりゃ」
「おーおー、舌が回らねぇのも可愛いなぁ?」
「ぉ、く、も、はぃら、にゃ、のめにゃ、にゃぃ」
もう無理だからって、お腹を撫でている藤也さんの手を両手で必死に握り締めた。それなのに撫でている手も動いているちんこも止まってくれない。
「ひぐ!」
撫でている手でお腹をグゥって押されて、また変な声が出た。せっかく出してもらったザーメンが少し漏れてしまった。それでも止まらないちんこにグイグイ奥を押されて、同じくらいお腹を押されてゾクゾクした。頭もビリビリしてきて、それが一気に膨らんで弾け飛ぶ。
「あ……あ……」
気持ちよくて頭もお尻もバカになった。気持ちいい、藤也さんのちんこが気持ちいい。それしかわからない。
「気持ちいいのはペニスだけか?」
違う。ちんこも、手も、キスも、気持ちいい。全部気持ちよくて、全部好き。
「好きなのは気持ちいいことだけか?」
違う、そうじゃない。藤也さんが好き。藤也さんだけが、好き。好き、好き、藤也さんが、大好き。
「俺も蒼が好きだよ」
藤也さんに好きって言ってもらえた。嬉しい、どうしよう、嬉しすぎて体がもっとバカになる。
「あ、ぁ、」
お腹がすごいことになってきた。ゾクゾクして、それに頭と目もチカチカしている。
「奥に、たっぷり出してやろうな?」
グポォって音が聞こえた気がした。そのくらい奥のほうまでちんこが入ってきた。
びゅる、びゅるる。
奥でちんこがドクドク動いている。ビュルビュルしたものがお腹の奥に当たっているのも感じた。
(これって、藤也さんの、ザーメンだ)
しきゅうの奥で、またいっぱい出してくれたんだ。嬉しいなぁって思った瞬間、俺の全部が真っ白になった。チカチカ真っ白になったかと思ったら、すぅっと真っ黒になった。
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