1601人が本棚に入れています
本棚に追加
その後の二人
「もうすぐかな」
時計を見たら六時半を過ぎている。今日は早く帰るって言っていたから、たぶん、そろそろのはず。
今日は藤也さんの好きなパンを買ってきた。俺も好きなパンだから、いつもよりちょっと多めにした。スープも作ったしサラダも用意した。あさりのバター焼きと、さわらのムニエルもできた。シャンパンとビールは朝一で冷蔵庫に入れてある。
入浴剤も選んであるし、ベッドもフカフカにした。防水用のシーツも敷いたし、換えのシーツもベッドの横に用意してある。ベッド脇の棚にはボスが教えてくれたチューブの潤滑剤も用意して、注文していたものも間に合った。
「うん、バッチリだ」
あとは、藤也さんが帰ってくるだけ。
藤也さんの誕生日が五月五日だって知ったのは、俺が藤也さんの家に来た次の年だった。五月五日って、こどもの日だよね。みんなが知っている記念日が誕生日なんて、やっぱり藤也さんはすごい。
同じ日が誕生日のボスは「この年になっても“こどもの日”なんて笑えるよな」って言いながら、毎年ケーキの代わりに柏餅を食べるんだって教えてくれた。
そういえば、ボスが「誕生日は昼から俺だけの逞しい刀で遊ぶのが楽しいんだ」って言っていたけど、どういう意味だったんだろう。「硬いのを縛ってしゃぶってやるのが最高でね」って笑ったボスに、藤也さんは「この変態が」って言って、静流さんは変な顔をしていた。
「今年はボスにもプレゼントを贈ったし、藤也さんのぶんも間に合ったし、よかった」
初めての藤也さんの誕生日には、何もできなかった。お金がなかったからプレゼントは買えなかったし、料理もできなかったからご飯も作れなかった。だから次の年こそは絶対に何かしようと思って、いろいろ頑張った。料理もたくさん練習して、ちょっとだけだったけど藤也さんの会社でアルバイトもして、お金も貯めることができた。
そうして準備していたけど、去年は藤也さんに連れられて海外に行くことになった。まるで俺がプレゼントをもらったみたいになってしまったから、今年こそはと決意した。
ガチャリ。
あ、ドアが開く音がした。慌てて玄関に行ったら、かっこいい藤也さんが靴を脱いでいるところだった。
「おかえりなさい」
「おう、ただいま。いい子にしてたか?」
「もちろん」
そう答えたら、ニヤッて笑いながらポンポンって頭を撫でられた。
いつもより少し早い時間だけど、ご飯も全部できていたから食べることにした。「いただきます」って言って、藤也さんがムニエルを食べる。スープもサラダもあさりも食べてから、「腕を上げたな」って褒めてくれた。そりゃあ藤也さんが教えてくれたんだから、上手になるのは当たり前だ。それでも褒めてもらえるのはやっぱり嬉しい。
何でも作れる藤也さんだけど、料理は趣味なんだって話していた。初めて料理を教えてもらった去年、その話を聞いたときはびっくりした。
だって、レストランみたいにおいしいご飯が作れるのに趣味なんてすごい。それに、レンチンでパパッと簡単に作ることもできて本当にすごいんだ。
ほかにも掃除や洗濯も趣味だって話していた。「だから、いつも家中がピカピカだったんだ」って初めてわかった。家には藤也さんと俺しか住んでいないんだから、ピカピカなのは藤也さんが掃除をしていたんだって気づかないといけなかったのに、本当にまったく気づかなかった。
いまは俺も気をつけて掃除するようにしているけど、いつの間にかお風呂や洗面所がピカピカになっていることがある。毎日あんなに忙しいのに、藤也さんが掃除をしているってことだ。
(俺も、もっと頑張らないと)
いまは掃除のほとんどを俺がやっているけど、藤也さんのピカピカにはやっぱり敵わない。
ご飯が終わって、一緒に片付けをしたらお風呂の時間だ。今日の入浴剤はハーブの匂いがするやつにした。
藤也さんは、冬は発泡入浴剤で、それ以外の季節はハーブや花の匂いがする入浴剤が好きだ。藤也さんは「おまえがいい匂いになるのが好きなんだ」って言うけど、藤也さんも絶対に好きだと思う。
だって、一緒にお風呂に入っていると表情が違うことがわかるんだ。もちろん俺も、藤也さんが好きな入浴剤は全部好きになった。
お風呂から出たら、外国の文字が書かれたビールを飲んだ。藤也さんはいろんなお酒を飲むけど、いまは外国のビールに凝っている。
二十歳を過ぎてから、俺も一緒にちょこっとだけ飲むようになった。そんな俺を見るたびに、藤也さんは「猫がミルク舐めてるみてぇだな」って笑う。
(だって、ビールって苦いんだ)
だから、本当は少し苦手だった。でも藤也さんがおいしそうに飲むから、俺も飲みたくなる。まだあんまり飲めないけど、いつかいろんなお酒を一緒に飲むのが夢になった。
「そろそろ寝るか」
「うん」
歯磨きをして、トイレに行って、藤也さんと俺の寝室に行く。
隣にあった俺の部屋は、俺専用のウォークインクローゼットになった。毎日藤也さんと一緒に寝ているし、俺だけの部屋がいらなくなったからだ。
(一人で寝てたときのことなんて、もう思い出せないなぁ)
そんなことを思いながらバスローブを脱いでベッドに座った。しばらくしたら、あちこちの電気を消してきた藤也さんが部屋に入ってくる。
「さて、今年はベッドの上でプレゼントがもらえるんじゃねぇかって予想してんだが」
「うん、当たり」
やっぱり、藤也さんは俺のことならなんでもわかるんだ。それはすごく嬉しいことだけど、俺も同じくらい藤也さんのことを知りたいと思った。もっともっと知って、もっともっと好きになりたい。
「しっかし、えらくかわいいパジャマだな」
「ベビードールって言うんだって」
「藤生か?」
「違うよ。自分でネットで買ったんだ」
だって藤也さんはきっとこういうのも好きだって思ったから。
ここに来るまでわからなかったけど、俺はどうやら女の子みたいな顔をしているらしい。女の子っていうか、かわいい顔だって言われた。そういう顔なら、たぶんこういう格好が似合うと思ったんだ。
ボスは「無性か両性って感じだな」って言っていたけど、よくわからなかった。静流さんが「ボスに似ている。あの人は美人だけど、ソウくんはかわいいほう」って説明してくれたんだけど、……やっぱりよくわからない。
でも、本当にかわいいなら嬉しかった。だって、藤也さんはかわいいものが好きなんだ。「かわいいものじゃねぇよ。かわいい蒼が好きなんだ」って言ってくれるのも嬉しい。
だから、きっとこの下着も喜んでくれるって思ったんだ。だって、ヒラヒラでスケスケでエロいのは藤也さんが好きなものだし、俺が見てもかわいいって思ったから。
「これ、好き?」
「好きか嫌いかで言えば、好きだな」
「よかった」
「おまえが着てるのがいいってことだ」
「……うん」
嬉しいのになんだか恥ずかしくなってきて、ちょっと下を見る。そうしたら、藤也さんの指がクリッて乳首を摘むのが見えた。
薄いレースの上からクニクニ乳首を摘まれると、気持ちがよくて背中がゾワゾワする。いつも乳首を摘まれているから、乳首だけで気持ちよくなってしまうんだ。
あ……、乳首をクニクニしながら、別の手が、太ももをサワサワしだした。それも気持ちがいい。気持ちがよくて、お腹がムズムズする。
もっとって思ったけど、でも、今日はまだ。だって、藤也さんへのプレゼントを、まだあげていない。
藤也さんの手を止めて、ベッド脇の棚に用意したものを手に取った。箱から取り出したのは、銀色に光る細い棒だ。先っぽには小さい鈴が付いている。
それを右手に持って、ベッドに座ってから膝を立てた。それから足を広げると、M字開脚っていうのになる。これも藤也さんが好きな格好だ。
ベビードールのパンツは小さくて、大きくなった先っぽがパンツから出てしまっている。ちょっと恥ずかしいけど、でも、これが俺からのプレゼントだから。
「これ……。これで、俺の、……俺のクリトリス、いじめてほしい」
言えた。恥ずかしかったけど、ちゃんと言えた。棒もちゃんと差し出した。だから、ちゃんと伝わったはず。銀色の細い棒で、俺のちんこ、……クリトリスの穴を、いじってほしいって伝わったはず。
「……あー、こりゃ、なんつーか……」
あれ……? 藤也さんがため息をついている。もしかして、何か間違えたんだろうか。絶対に好きだと思って用意したんだけど、間違えてしまったのかもしれない。
「俺、間違えた?」
「いいや、正解も正解、大正解だ。あまりに俺好みすぎて、突っ込む前にザーメンぶちまけるところだった」
それって、嬉しいってことなのかな……。
いっぱい勉強しているけど、未だに藤也さんの言葉がわからないときがある。とくにボスと話しているときや仕事の話は、難しい内容が多いんだ。
でも「大正解」って言ってくれたってことは、大丈夫だってことだ。
「俺からの、プレゼント」
「おーおー、我ながらよく躾けたもんだ。思いっきりドストライクのドエロい恋人になったなぁ」
「嬉しい?」
「当たり前だろ。さて、プレゼントはしっかり最後まで貰わねぇとな」
「これ、ちゃんと消毒してるからすぐ使えるよ? あと、お尻、おまんこも、もう濡らしてあるから大丈夫」
「……あー、ほんの少し罪悪感が芽生えるな。いや、俺の恋人ならこれが正解か」
藤也さんが何かブツブツ言っている。でも体のあちこちを撫でてくれているから、嬉しいんだってことはわかった。
(きっと藤也さん、気づいてないんだろうな)
藤也さんは機嫌がいいときや嬉しいとき、俺の体のどこかを撫でる。そのことに気づいたのは去年だ。ほかにも、きっと藤也さん自身が気づいていないことがたくさんあると思う。そういうのを、俺はたくさん知りたい。
「じゃあ、かわいいかわいいプレゼントを、いただくとするか」
そう言って笑った藤也さんが、体のあちこちにキスしながらベビードールを脱がし始めた。
ゆっくりと細い棒が入ってくるとき、本当は少しだけ怖かった。だって、ちんこの穴は小さいから、いくら細い棒でも痛いんじゃないかって思ったんだ。
でも、痛くはなかった。ちょっとピリッてした瞬間もあったけど、あとは全然痛くない。
きっとボスが棒と一緒にくれた消毒液のおかげだ。だって「俺も使うけど、痛くないから大丈夫だよ」ってボスが話していたから。それに、藤也さんが優しくゆっくり入れてくれたからに違いない。
ゆっくり入ってきた棒の先っぽがちんこの奥に当たったとき、お尻を大きなちんこで擦られたときみたいに気持ちがよかった。どうして気持ちいいかわからなかったけど、とにかく気持ちよくて体が熱くなった。
ちんこに棒を刺したまま、寝転んだ藤也さんの上に乗っかった。お尻には中で出しても大丈夫な潤滑剤をたくさん塗ったから、藤也さんの大きいちんこにはゴムをつけていない。
ズブズブって入ってきたと思ったら、すぐに気持ちいいところにグリグリ当たって腰がビクビクした。そうしたらちんこに刺さった棒の鈴がチリンチリンって小さく鳴って、……それがとても恥ずかしくて、すごく気持ちよかった。
恥ずかしいけど、気持ちがいい。俺のちんこもお尻の中も、気持ちいい。気持ちよくて、どんどん腰が落っこちてしまう。足から力が抜けて、あ、ぁ、もう、全部、入っちゃう――。
ズブゥって、大きいのがお腹の奥いっぱいに入った。体がビーンって伸びて、俺のちんこがビックンって大きく跳ねて、また鈴がチリンって鳴った。
「ブジー突っ込んだまま騎乗位とか、ドエロすぎるだろ」
「ひ、ぃ、ふ、ふ、ぅ、」
「ほら、せっかくだから、ブジーも動かそうな?」
「ひぃ! ぃ、ぁ、ちんこ、おく、すご、ぃ、」
「ちんこじゃねぇだろ?」
「ひ、ひ、ぃ、く、とり、す、クリト、リス、きもちぃ、ぃぃ、すごぃ、ぃ」
「小さくてかわいいクリトリスをパンパンにして、ほーら、気持ちいいな?」
「い、ぃ――!」
ズルルルって棒を引っ張られて、ちんこがビクビクした。抜ける……、そう思ったら、今度はググググってまた入ってきて、ちんことタマがブルブルする。
そのまま棒を奥まで入れて、藤也さんの指がトントンって鈴を鳴らすみたいに棒を叩いた。
「ひ、ひ、ぃ、クリ、きもち、きもひぃ!」
「クリトリスから前立腺叩かれると気持ちいいな?」
「いぃ、ぃぃ! きもち、くり、きもちぃ! あ、ぁ、イく、クリ、いっちゃ、イく、イく、ィくの、クリで、いっちゃぅ!」
「思い切りイけ」
ちんこの奥まで入っていた棒が、ズルルルって、一気に抜けた。先っぽまで抜けたら、棒を追いかけるみたいに、プシューッて潮が出た。勢いがよすぎて、俺の顔にもちょっとかかってしまった。
「ぁ、ぁ……、」
「勢いよく吹けたな。いい子だ」
濡れてしまったほっぺたを藤也さんが撫でてくれる。体はガクガクするけど、嬉しくて必死に手のひらにほっぺたをくっつけた。
「さぁて、次はケツマンコで俺を気持ちよくしてもらうか」
「ん、ぅん、おれの、おまんこで、きもちよく、なって」
「今夜はたっぷり出すからな」
「ん、だして……。俺の子宮に、いっぱい、出してほしぃ」
もうお腹の奥まで入っているけど、きっとまだ奥がある。今夜は、きっとそこに入れてくれる。
初めての姫始めのときにいっぱいザーメンを出してくれたところより、もう少し奥まで入りそうな予感がしていた。そこは、たぶん藤也さんも知ってる場所だ。でも藤也さんは優しいから、俺が怖くないようにいままで入れなかったに違いない。
でも、俺も少しは体が大きくなった。十八歳のときよりは背も少しだけ伸びたし、体重も少しだけ増えた。だから、大丈夫。一番奥まで入れても壊れたりしない。藤也さんのちんこの全部を、俺の奥に入れてくれて大丈夫だから。
「ぁ……、ぉく、はい、る……」
「結腸も随分柔らかくなったなぁ。そんなに突っ込んじゃいないはずだが、……ま、痛くねぇならいい」
「いたく、なぃ……。おれ、おまんこ、きもちぃ、よ……?」
「……おまえのほうが、悪魔みてぇだな」
「ぁく、……?」
「小悪魔みてぇにかわいいってことだ」
かわいいって言われるのは好きだ。藤也さんにかわいいって言われるのが、好きだ。
「このままでいいのか、多少なりと責任を感じはするが」
せきにん、せきにん、……責任。藤也さんが、責任を感じている。それって……。
「ぉれの、パパ、だから?」
「……ッ。おま、どんな煽り方だ、」
あおり、あおり、……煽ってなんか、ないのに。だって藤也さんは、俺のお父さんになったから。
一年前、俺が二十歳になった日に、俺は藤也さんと家族になった。戸籍では藤也さんは俺のお父さんで、俺は藤也さんの息子。この国では男同士は結婚できないから、だからお父さんと息子になって家族になったんだ。本当は恋人だけど仕方がないって、俺もちゃんと勉強してわかっている。
代わりに、今年のお正月に外国で結婚式をした。外国のだけど、結婚証明っていう紙ももらった。
これは俺の大事な宝物だ。藤也さんの次に大事なものになった。
俺と家族になれるように、藤也さんは俺が部屋に来た年からずっと準備をしてくれていた。そのせいで家に帰れなくなる日があったくらいだ。手続きやなんかがいろいろあっただけだって聞いているけど、たぶん俺のお父さんのせいで大変だったんだと思う。
お母さんがいまどうしているか、藤也さんに聞いたことはない。お父さんのことも聞かなかった。でも、お父さんが偉い人だってことは知っている。そのせいで準備が大変だったって、藤也さんと高宮さんが話しているのをたまたま聞いたことがあった。
俺のお父さんは、ボスがいる世界で偉い人らしい。だから、俺はお母さんがいなくなった後も生きていられたんだと思う。でも偉い人にはいろいろあるから、必要最低限でしか生きられなかった。俺が邪魔だって思う人もいて、売人になって勝手に消えてくれればいいって思う人もいたんだろうなってこともわかった。
藤也さんのそばにいて、そういうことが少しだけわかるようになってきた。
「だって、おとうさんは、ダメって、言った、」
「ありゃ言葉のアヤだ。つーか、こんなときにパパとか呼ぶんじゃねぇよ」
「な、んで……?」
どうして言ったらダメなんだろう。だって、お父さんって呼ばれるよりパパのほうがいいって言ったのは藤也さんなのに。
「さすがにそりゃ、マズイだろうが。俺はまともな神経してんだよ」
でも、藤也さんは俺のお父さんになった。それに、恋人だ。
恋人だから、藤也さんに言われたとおり普段は藤也さんって呼んでいる。じゃあ藤也さんに言われたとおり、お父さんって呼ぶのがダメならパパって呼ぶのが正解なんじゃないのかな。
「パ、パ?」
「……ッ、ぐっ」
パパって言ったら、ちんこがもっと大きくなった。奥に入っているからちょっとだけ苦しくて「はふっ」て息が出る。
でも、大きくなったってことは気持ちいいってことだ。ってことは、パパって呼ばれたいってことに違いない。
「ん、……パパ、きもちぃ、」
「おまえ、は、」
「パパの、ちんこ、おっきく、て、んっ、おまんこ、きもちぃ、いぃ、」
「グ……ッ」
「んぁ、あ! ちんこ、すごぃ、おく、はいっ、きもち、しゅご、ぉく、きもひ、いぃ、まんこ、きもひぃ、きもち、いぃ、ぃ」
いつもより大きくなったちんこが奥までぎっちり入っている。それがすごく気持ちよくて、すぐに頭がバカになった。
バカになったら、俺はもう気持ちいいと、ちんこと、まんこくらいしか言えなくなる。体もバカになってきて、藤也さんのお腹の上でブルブルすることしかできない。
(気持ちいい、気持ちいい、全部が、気持ちいい!)
「ぱぱ、ぱぱぁ、しゅごぃ、おく、きもちひ、ぱぱのちんこ、きもちぃ、いぃ、ひ、ひ、いぃの、きもひぃ、の、ぱぱ、ぱぱの、きもひぃ、ぃぃ!」
「……ッ、こ、の、小悪魔、が……ッ!」
バツンって、藤也さんのちんこがお腹の奥にぶつかった。そこをグリグリされて、背中がぐわって後ろに倒れそうになる。
気持ちよすぎて、頭がガクンって後ろに倒れた。口が開いて、舌が伸びる。ヒ、ヒって、変な声しか出なくなる。気持ちがよくて目がグルグルして、頭がグルグルして、もうダメだって思っていたら……。
ドクドクドクって、お腹の奥で藤也さんがザーメンを出してくれた。すごい勢いで、お腹がどんどん温かくなる。奥のほうがポカポカして気持ちいい。頭はチカチカするけど、でも、それだって気持ちいいんだ。
「ぁひ、ひ、」
ドクドクが、ちょっと収まった気がする。チカチカもグルグルも、ちょっとだけ小さくなっきた。
だから、倒れないようにゆっくり体を起こした。だけど首に力が入らなくて、頭がカクッて前に倒れた。そうしたら藤也さんと俺のお腹が見えた。
(……すごい、びっしょりだ)
藤也さんのお腹が、びっしょり濡れている。俺のちんこの毛もびちゃびちゃだった。もしかして、俺がたくさん潮を出してしまったんだろうか。気持ちよすぎて全然覚えていない。
濡れている股間をぼんやり見ていたら、藤也さんが勢いよく起き上がった。そのまま俺の体を、ぽすんってベッドに押し倒す。
「おまえ、とんでもない小悪魔に育ったな」
こあくま、こあくま、……小さい、悪魔。俺が小さい悪魔……って、どういうことだろう。
藤也さんがいまでも悪魔って呼ばれてるっていうことは、ボスに聞いたから知っている。アルバイトをしていたとき、そう呼ばれているのをインターネットの記事で見たこともある。
ってことは、藤也さんが悪魔だから、俺は小さい悪魔ってこと?
「うっかり危ねぇ扉を開くところだったじゃねぇか」
「あぶない、とびら、」
「大体のプレイはいいがな、義理とは言えセックスのときにパパってのは駄目だろ」
「ダメ、なの?」
「……どうしてセックスに関してだけは、昔のまんまかな」
どうしたんだろう。藤也さんがちょっと怖い顔になった。もしかして、セックスのときはパパじゃダメだったってことなんだろうか。それじゃあ……。
「お父さん……?」
「……ッ、おまえって、やつは……」
あ、藤也さんのちんこが、また大きくなった。ってことは、お父さんって呼ばれるのは気持ちいいってことだ。じゃあ、お父さんはダメじゃないってことだ。
「お父さんも駄目だ」
……ダメだった。ちんこが大きくなったから、気持ちいいんだって思ったのに。
「さて、悪いことをした蒼には、お仕置きしねぇとなぁ」
「わるい、こと」
「呼ぶなって言ったのに、パパ、パパ言いながら腰振りやがって」
「……あ、」
「さぁて、どんなお仕置きするかなぁ」
藤也さんが楽しそうに笑っている。楽しそうな藤也さんは俺も嬉しいけど、でも、お仕置きは、……ちょっと。
だってお仕置きされるとイきすぎて、ちんこもお尻も大変なことになるんだ。きっと明日はクッションまみれじゃないと一人で座れなくなる。もしかしたら、トイレだって一人でできなくなるかもしれない。
そうしたら、藤也さんがトイレに連れて行ってくれるんだけど……俺がおしっこするのを、最初から最後まで見られてしまう。それは、すごく、恥ずかしい。
このあと、俺はちんこの穴にまた棒を入れられたり、お尻の奥までちんこを入れられたりした。藤也さんは「お仕置きだからな」って言って、お尻に入れたちんこを動かしてくれなかった。擦ってほしいのに、もっと奥までゴリュゴリュしてほしいのに、全然動いてくれなかった。
俺は「動いて」って何度もお願いした。最後は「おまんこ犯して」って泣きながらお願いしたら、藤也さんがやっと動いてくれた。
藤也さんって、たまに、ちょっとだけ意地悪になる。だから悪魔って呼ばれているのかもしれない。「おまえのほうが小悪魔だろうが」って藤也さんは言うけど、……やっぱり、藤也さんのほうが悪魔だと思った。
最初のコメントを投稿しよう!