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昨日の夜、恋人の祥平が送ってきたメールを読み返す。
「近いうちに一緒に食事しようよ。最近、俺たち一緒に食事してないから」
そういえばそうだった……。
このところ、祥平と一緒に食事をするチャンスがあまりなかった。お互い仕事が忙しい身だから。
私は「わかった。楽しみにしてる」とすぐに返信した。
正直に言うと、祥平は私なんかとは不釣り合いなほど素敵な男性だと思う。
すらりと背が高く、顔は若手俳優顔負けのイケメン。高い鼻と一文字にむすんだ唇、整った眉は、外国の童話に出てくる王子様を連想させる。
いつもセンスの良いスーツに身を包み、月に一度は女性から愛の告白を受けるほどの人気ぶりだ。
私はふと、祥平と出会ったあの夜に思いを馳せた。
あれは半年前ほどのことだった。
私は仕事帰りに一人、バーでお酒を飲んでいたのだ。
上司から押し付けられる無理難題の山に辟易していた私は、つい飲み過ぎてしまい、店を出たところで気分が悪くなってしまった。
星空の美しい初夏の夜……。
私はすでに閉まっている店舗のシャッターに片手をつき、なんとかふらつく体を支えていた。
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