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一月の寒い夜で、雪もちらほら舞っていた。
総勢20人ほどが集まり、各々思い出話を語ったり、近況を報告し合ったりして、賑やかに過ごした。
俺は皆と同じようにビールを飲んだ。初めて飲むわけではなかったが、あんまり美味いもんじゃないと思った。
進は俺の隣の席に座っており、その隣には女が座っていた。
俺が中学一年の夏に初めて好きになった女の子である桜井真奈美だった。
女達は成人式の着物から既に洋服に着替えていて、彼女も白いセーターにスカートといういでたちだった。
桜井は中学の頃から比べると、どういうわけか随分太っており、俺は軽くがっかりしたものだ。
でも、言葉を交わすと、あの頃のように屈託の無い笑顔と優しい物の言い方が相変わらずで、そこのところが懐かしく嬉しかった。
「そういえば恵一……お前、桜井に惚れてたんだよな」
飲み始めて30分ほどした頃、急に進が思い出したというように手を打った。
桜井は目を瞬かせて俺のほうを見ている。
一瞬、中学時代の制服姿の彼女が重なって見えて、俺は動揺した。
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