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◇◇◇◇
休み時間になると、美麗な転校生の周りには女子が集まりだした。
「倉科くんってどこの県から来たのー?」
「ちゃんと制服そろえたのに、4ヶ月だけなんてもったいないねー」
女子たちの黄色い声が飛び交う。
「いや、前の高校も学ランだったから。1学期だけだからそれでいいって先生が」
倉科が落ち着いたトーンで話すと、女子たちの声はますます高くなった。
普通、クラス替えの初日と言えば、このクラスのカーストを決める大事な時期なのだが、転校生というイレギュラーがあったのではどうしようもない。
それにーーー。
「辻と同じクラスなんてラッキー」
「ねー、またカラオケに連れてってよぉ」
もう一つの女子の山を見る。
こちらは去年から平常運転。
学年ーーいや、学校一モテる辻だ。
この二人がいる以上、顔だけでいえば一番いいはずの自分がモテることはなさそうだ。
ーー別にモテたいわけじゃないけど。
「柿崎―」
見事二年連続でピエロに認定された沢渡が、脱いだ学ランを肩につっかけながら寄ってきた。
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