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「もういいよ、そういうの」
康太が遮った。
「俺だっていい歳だし、向こうで嫁さん見つけるから。そんなところに女友達が一人で訪ねてきたりしたら、迷惑だから」
「え…」
「はっきり言って、もう彩佳には付き合いきれない」
「なに言って……なんでそんな怒ってるの?」
次に言うべき言葉を探していると、康太が吐き捨てるように言う。
「もう俺たちの友情も、終わりだってこと」
「やだ、やめて。謝るから」
「何を謝るの?」
わからない。だって、康太が怒ってるから。そんな、なんの解決にもならない一言を口にしたら、通話を切られてしまうのだろうか。そしてブロック削除? 二度と康太と会話することもなくなって…。
「やだ、やだ。なんで怒っているのか教えてよ」
まだ酔いが覚めていないのかもしれない。私は必死で駄々をこねた。
「康太がいなくなっちゃうのは考えられない! ずっといなくならないで…」
叫ぶように言って、気が付いた。
康太が大切なんだ。たった今わかった。私がなりたいもの。それは…
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