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そして散らかったままの部屋が我慢出来ず、自分から片づけてしまう自分……鶏が先なのか卵が先なのか。どっちなのか砂菜枝には本気で分からない。大量の洗濯物を洗濯機に放り込んで、ようやく、思い出したように風呂掃除を始めていると娘の愛里沙が帰ってきた。手を洗いなさいうがいをしなさい、といつも言っているのにリビングに直行して、
「……げ。まーた仮面ライダー見てんだ。……ちょっと航暉。あんた帰ってからテレビ独り占めしてんだからすこしはわたしに譲りなさいよっ」
お風呂用スポンジを手に砂菜枝は、……またか、と思う。毎日毎日この姉弟はうんざりするほどに喧嘩する。うんざりするのに疲れた。
「お母さんあーちゃんがぶったぁー」
「なによっ」航暉の髪を引っ張る愛里沙を見て砂菜枝は愕然とした。「ちょっと愛里沙!! もう……いい加減になさい!!」
ぶんどるように娘の腕を掴み、そして、離した。……娘の目は、うるんでいる。
「お母さん……いつも航暉の味方ばっかりして……愛里沙なんか生まれてこなければよかったんだ!!」
……ああ、もう……。
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