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夫に構っているヒマはない。「さっき航暉が入ったばかりだからまだあったかいよ。……じゃあ、行ってくる」言うだけ言って砂菜枝はその場から離れ、急ぎ、自転車置き場へと行き、ドラッグストアへと自転車を走らせた。……何故だろう。
無性に泣きたくなる、この気持ちは。自転車を漕ぐ……とぐんぐん風に飲み込まれていると気持ちがいい……と本来なら感じられるはずなのに。いまは、閉店に間に合うのかがとにかく心配だ。そして。
自分への理解者がいないという絶対的な孤独……に、押しつぶされまいと、必死に、砂菜枝は、自転車を漕ぎ続けた。
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