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冷凍ごはんをチンしているあいだに、夫が朝風呂に入るゆえ、湯船にお湯が溜まっていることを毎回忘れそうになり、湯を抜く。それから。王将の冷凍餃子……中火で五分フライパンで焼いて、水も蓋もいらないという……を、卵焼き器で焼いて、あとは適当にとき卵をぶっかけ。うらっ返してどんぶり皿に持ったご飯のうえにぶっかけて卵とじ餃子丼……これが砂菜枝は大好きだ。味付けはケチャップを適当にぶちゅぶちゅかける。……そして、砂菜枝は、ひとり、昼ご飯をかきこみながら思う。
自分は、……なんのために生きているのかと。
* * *
重たい5kgの米袋とスーパーのぱんぱんになったエコバッグを両手に持ち、うっしょうっしょと歩いていると玄関のかぎが開いている。……航暉め。鍵は必ずかけなさいとあれだけ口ずっぱく言っているのに……まったく。
そしてせっかく午前中にぴっかぴかにしていた玄関は、靴が四足五足ほどで派手に散らかっている。なにやら砂もついており。……砂菜枝は、眩暈がした。後ろで扉が開き、うわ、航暉の友達いるんだ、サイアク、と娘が毒づいている。
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