☆10. シンデレラは知らなかった。

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 あんなに頑張って張り切って準備をしたのに。『ふりよば』の連載自体は十回で終了。原作を大幅にカットしたかたちとなった。……せっかく、妹のキャラデザも考えたのに……あんなにみんなで……。  秋になる頃にはみんなに忘れ去られていた。それから、別段、出版社からオファーや仕事の依頼も来ることなく、くさくさとした日々を、砂菜枝は過ごしていた。『ふりよば』という接点がなくなった以上、朝倉に接する機会も皆無。……寂しい……虚しい……。  冬の近づいたある日。ひとり、鍋の支度をしていると、Yさんから電話があった。お世話になった編集者だ。  しかし、彼から電話の内容を聞かされると砂菜枝は仰天した。「ええっ? ……美世先生がご出産、ですって!?」  *
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