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ただし、愛里沙が嫌な顔をしたのは五秒足らずのことで、さっさと自分は、玄関にランドセルをぶん投げるようにおいて、玄関にある、ハンドバッグに持ち帰るとさっさと自分は玄関を出て行く。「お母さん。わたし和沙たちと遊んでくるー」
「携帯携帯」
「いっけね」と愛里沙は舌を出す。「お母さん。わたし靴履いちゃったから……取ってきてくんない?」
親を顎で使うのか娘よ。苦笑いを漏らしつつ結局愛里沙の部屋に行き、充電したまんまのキッズケータイと鍵をくっつけたストラップを手渡してやる。愛里沙は受け取ると礼を言うどころか、やっべ、もうメール来てる、と顔色を変えて風のように瞬く間に玄関を出て行った。……やれやれ。
自分に残されたのは重たいエコバッグプラス5kgの米袋。……それに。
「おっまえこらデータ消すなよ!! うわあああー--!! あつやがデータ消した!! まじ、出ていけ!!」
……リビングにてSwitchにてお友達ともめながら遊ぶ息子たちの騒音……だけであった。
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