☆00. prologue

1/1
前へ
/64ページ
次へ

☆00. prologue

 自分が人生の主役でない、と気づいたのはいつだっただろう。  長女の愛里沙(ありさ)を出産したときから? いや違う。  それとも長男の航暉(こうき)を産んだときに。……いや違う。  思えば、夫の博則(ひろのり)と結婚したときから自分は奴隷と化した、と砂菜枝(さなえ)は思う。  そして彼女は思う。――サラリーマンにだって有休休暇があるように、主婦にだって夏休みとか、お休みがあったっていいじゃないのか。だって。主婦は。  365日、24時間体制で働いているのだから。  そしてそんな砂菜枝が、たった一時間のシンデレラとなるまで、……残り二ヶ月と迫っていた。  *
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

220人が本棚に入れています
本棚に追加