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ケーキを無言でモグつくこと数分。流石に無言で男3人がケーキを食うのは気まずい。
ちーちゃんもそう思っていたのか、無言でカレーパンをかじる会長にある提案をした。
「何か面白いこと話してくださいよ祐翔。」
「フリが鬼。」
「むぐ、ゴクン………いいぜ、得意分野だ。」
いいんだね。
こんな地獄みたいなフリ普通は空気を悪くするだけなのに相手が強すぎる。
紅茶を一口飲んだ会長は語り始めた。
「最近の話なんだが、2番目の兄貴、21なんだけど、屋敷に刺された状態で帰ってきたんだ。こう、腹から刃物の柄と血突き出して脂汗流しながら帰ってきて。」
「え゙、」
「ほう。」
「うちはこう、物騒な家だから『どこのモンにやられたんや!!』って上や下への大騒ぎで一時は仇討ちの義勇隊まで結成されたほどだったんだが、さて、兄貴が刺されたのは誰だと思う?はい榊3秒。」
リミット付き!?
「エッ相討ち覚悟で敵軍に1人突っ込んで挙句無事相手を殺して勝利の凱旋?」
「ブブー。正解は、五股してた女の1人にぶっ刺された、でしたー。ちなみにそれを聞いた父親からもそれはかばえねえ、もう少しうまくやれって言われてた。」
「クイズにしてはむずすぎんか???」
そして面白さのクオリティーが高い。
やるじゃん裕翔会長。
「じゃあ次榊くんの番ですよ。どうぞ。」
「エッマジすか………いっすよ。」
「お前も割と順応能力高いよな。」
会長がやってくださったんだもの。イケメンを愛するものとしてあとに続かないことがあるだろうか、いやない。反語。
「んー、………じゃあ、一個。知り合いの話なんですけど。」
「ほう。」
「知り合いのKくんっていうのがいまして。そいつは最近転校して、男子校に移ったんですよ。そいつが言うには、その学校には足が緑色でピィピィホケキョと鳴き人懐っこく人の肘の匂いを嗅ぐのが好きなわんこもどきがいるらしくてですね。」
「ほう??」
「そいつを飼っているのがまた怪しげな不良でしかもK君はそいつと同室で、毎朝5時半にわんこもどきによだれまみれにされて起床を強制され、食事もブロッコリーときゅうりと肉の脂身が入ってたらすべてその犬に横から食われ、大変らしいです。」
ハッハッハしょーもねー嘘つくよなぁお前もごめんな俺等が変なふりしたのが悪かったよぉ〜
と肩をバンバン叩かれるのを期待していたのに、顎に手を置き黙りこくった会長。
ちょっと画が良すぎたのでパシャってしまったのはしょうがない。不可避だったんだ。
「…………榊、それマジか?」
そう聞いてくる会長(顔がいい)。もしかして騙された?
そう希望を抱いた刹那、いや、普通に考えてこれ信じるやつが会長とかなれねえだろ、試してんだよ。俺の正気を。と頭の片隅に住む冷静な俺が突っ込んできた。そうだね。
「さてどっちでしょう!!」
それでもノるのが人の性!!!
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