十五歳の憂鬱

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「だったらわかるんじゃない? 元々は使われるばっかりだったのがようやく自分の自由に使えるようになったんだから、小さなことでも全力で悪用するって決めたの。せめてわたしだけでもね」  前世のわたしは、無限の魔力が湧く魔術道具の化身みたいな存在で、誰かに使われるばっかりだった。せっかくの魔力も自分の一存じゃ使えない。おまけに、いくら崇高な存在ったって結局魔術道具でしかないわけだから、自分を使う人々やらにいくら恋焦がれてみたところでいつも、決して結ばれない。  あ~あ、それで生まれ変わったわたしまで、ぜーったい自分を好きにならない相手に片想いだなんてね。あんまり報われなくって嫌になっちゃうなぁ。  まぁ、生まれ変わりって言っても私が前世から引き継いでいるのは記憶だけで心ではないから。これで人格まで受け継いでいたとしたらわたしのこの現状、悲観して命を絶って、次の転生ガチャに賭けましょうってなっちゃってもおかしくないよ。
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