思い通りにいかない聖女は憤る

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思い通りにいかない聖女は憤る

 数日後、メイナードの平民降格の話を聞く。すでに塔へ幽閉すると連れ去られた彼だけど、きっと聖女を支持する神殿が民を連れて助けに来る。そう思っていた。だって物語のヒロインである聖女だよ? 絶対に私は助かるはず。  メイナードが王子じゃなくなったなら、王太子が私の運命を変える攻略対象なのかも。神殿の大神官が私を返せと抗議して、表に出た私の清楚な美しさに王太子がメロメロってパターンもありそう。わくわくしながら待っていた私に通達されたのは、聖女の地位を剥奪した事後連絡のみ。  地下牢を出されて、街の外れに放り出された。ここは神殿の奉仕活動で来たことがある。生ゴミが腐ったような臭いが充満する、スラム街だ。そこで奉仕活動を強いられた。このスラム街をゴミひとつない美しい場所にするまで逃げられない。  鎖に繋がれ、汚い連中の間で暮らす。メイナードも同じ罰で、金髪碧眼白い肌は台無し。ただの小汚いひょろ男に成り下がった。鎖のせいで逃げられず、何度もスラムの汚い男に犯される。それすらも罰なのか、監視員はまったく意に介さなかった。  監視員を懐柔してよい食事や環境を手に入れようとしたけど、媚びても鼻で笑われる。 「こんなゴミを相手にしなくても、いくらでも街には綺麗な女がいるんだよ」  吐き捨てるように言われた私を、後ろからメイナードが犯す。もう全部が台無しよ! どうなってるの? もしかして悪役令嬢が「逆ざまぁ」するラノベが流行したから、そっちの世界だった……とか?! 冗談じゃないわよ! 「死ね、悪役令嬢!!」  あんただけいい思いするなんて、許さない。やり直しを要求するわ。
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