一章

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ダリルがヒロインと親しくしている姿を見たトリニティは、ヒロインを虐め倒すのだが、その方法が過激なのだ。 恐らくヒロインを本気でこの世から消すつもりだったのだろう。 その虐げっぷりはプレイヤーをドン引きさせるほどだった。 他の令嬢達を巻き込んでド派手にヒロインを攻撃していた為、簡単に悪事がバレてしまうのである。 そして、断罪一直線。 「トリニティ・フローレス……お前との婚約を破棄する」 「ダリル殿下ってば、どうされたのですかぁ? そんなに怖い顔をして」 「今まで彼女を虐げたこと、俺にバレてないとでも思っているのか?」 「ーー!?」 トリニティはダリルの背後にいるヒロインを思いきり睨みつけた。 その視線は「お前のせいだ」と訴えかけているようだった。 ヒロインは美しいプラチナブロンドのウェーブのかかった髪と鮮やかなスカイブルーの瞳を持つ、愛らしくて庇護欲を誘う『ローラ』という女の子だった。 ローラは攻略対象者の寄り添いながら心の傷を癒していく。 そんなローラを愛おしそうに見つめているダリルに気付いたトリニティは手のひらを握り込み、血が滲むほど唇を噛んだ。 自分に対するダリルの態度とローラに対する態度が全く違うことを見せつけられたトリニティは愕然とする。 「どうして……どうしてッ! そこはわたくしの場所よッ! 平民の貴女が触れていい方じゃないの!」 「……」 「お前さえ……お前さえ消えれば上手くいったのにッ!」
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