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 火ノ神に入れ知恵をしたのは水神かもしれない。  この遊戯に火ノ神が参加しているのは気付いてはいたが、まさか白雪とは相性の悪い炎の神力を渡すなんて考えてもいなかった。  だが、それでもそれを受け取り体内に取り込んだ白雪は承知の上であると言うことだろう。  部屋に行くと絹が敷いてくれたのであろう茣蓙の上に寝かされ眠る白雪がいた。  ララは近づき、しゃがみ込むと白雪の寝顔を覗き込む。  呼吸は安定しているが、熱に浮かされているのか汗をかいており顔が赤い。 「本当、皆バカばっか····」  軽く毒づきながらララは白雪の頬を撫でた。 「翠様。少し、よろしいですか?」  自分も白雪の所に向かおうとした時だ。突然、絹が話をかけてきた。  鬼神と始祖の神の欠片に導かれた事を綿から聞いたのであろう。 「少なからず、鬼神様と秘姫様と何か繋がるものがあったから呼ばれたのでしょう」  欠片は何かを翠に伝えたかったのだろうと絹は言うが、翠はそれについて否定する。 「あの泣きべそクソ鬼神、初っ端から襲って来たんですけど」 「·········」  先祖である初代西の鬼神をクソ呼ばわりしたのはきっと翠が初めてだろうと絹は思ったとか。 「ここに来た侵入者達を当初の鬼神様は気だけで殺したと言われておりますからきっとそれの名残りでしょう。」  その名残に殺されてたまるか。 「きっと子孫である翠様に始祖の神様の欠片が伝えたかった事があるからお二人を会わせたのかもしれませんね」  そこで絹はとんでもない事を言い出した。  もう一度精神体になってその欠片と話してこい···っと···· 「断る」  もう一度言う  殺されてたまるか。
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