年賀状の余白

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 元旦の早朝。寝巻のまま郵便受けに走って、彼女からの年賀状を探した。  墨田 海星様。  彼女の綺麗な字で書かれた僕の名前に心臓が高鳴る。  表に返すと、アメリカでの近況と僕のとは全然違う可愛らしいウサギが描かれていた。  そして、下の余白に書かれた一文に目が止まる。  「今年の夏休みは、墨田くんに会いに東京へ行きます」  それじゃあ、また離れ離れだよ。  じんわりと霞む瞳で、何度も何度も年賀状を眺める。  彼女の想いが新年の日差しに照らされて、優しく輝いていた。    
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