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「……」
俺は再び動かなくなった彼らに拳銃を向け、トリガーを引く。
「統一官:天羽楽。10名殺」
報告をする。
民間人に見られでもしたら世に知られてしまう。
もう世に知られているかもしれないが。
逃走犯が民間人に危害を加えた時から、もう世に知れ渡っている。
「公安警察スパイ課は本当に実在し、尚且つ役立たずだ」と言われているはず。
今まで民間人が平和に生きれたのはスパイ課のお陰であるのに、功績が分からないから役立たずと声が上がる。
まあそれも、仕方がないことである。
悪いのは標的を逃した八神達ーー
俺はいつしか現実逃避をし、八神達に罪を擦り付けている事に気が付いた。
「俺が裏口のことを言わなかったせいで、総員で殺している」
そう自覚させようと必死になっている内に、民間人が覗きにやってきた。
「うわ!あれスパイ課のやつじゃね!標的逃したから悩んでるとか!」
覗きに来た高校生集団に言われ、俺は気づいた。
ほんの一部のスパイ課の標的が逃げただけで、課全体の標的と思われている。
実際今はそうだが、最初は全員の標的という訳ではなかったと言うのに誤解されている。
「……こっちに来た」
俺は民間人の壁を抜け、路地裏を出る。
自分は最近、異名もつけられ噂されているが本当は実力など少官以下だと思う。
すぐ焦る、落ち着きがない、情報収集に特化している。
統一官になれたのも全て長官の推薦だ。
長官が指導してくれなければ推薦も情報収集もさせてもらえなかったーー
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