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「月霜さん……」 月霜風音。彼女達の上司である。 「私の部下が大変失礼な事をした。お詫びさせて欲しい」 「いえ。彼女達にお世話になっていますから」 スタイル抜群で髪を1本結にした彼女は、冷静と知性を纏っている。 何故スパイ課に配属にならなかったのかと不思議に思う。 こういう人が1人、スパイ課の統一官にいればもっと環境が良くなると思う。 今の統一官達は皆面倒くさがりであるから教育が俺ら上官に回ってくるのだ。 月霜さんのようなサバサバした人が入れば、統一官をまとめられると思うのだが。 「行くかー。八神」 そんな妄想も束の間、山本が如月を連れこちらにやってきた。 「ほら。退け」 月霜さんが彼女達を連れ闇の中へ消えていく。 「また逆ナンか。モテモテだな」 山本が揶揄うように小突いてきた。 「どうでもいい。拳銃、弾は10発入ってるな」 俺は一度深呼吸し、所持品の確認をした。 「イヤホンと予備の盗聴器」 「ある」 「車の中にレポート用紙と鉛筆」 「予備含めあります」 俺らは黒い塗装がされた車に乗り込み、また深呼吸をする。 「帰るのは朝方になる。覚悟しておけ」
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