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長官の目は希望と一筋の闇を持っていた。 その時だった。 「長官!緊急事態です!」 長官の秘書が焦りと共にやってきた。 「なんだ」 「八神達の標的50人が裏口から逃げ出し民間人を襲っているとの通報です……!」 長官の額に脂汗が浮き上がる。 「私の人員ミスだ。裏口にも配置しろと言わなかった」 そう言われ俺は訂正する。 「いいえ。私のミスです。事前に裏口があるとは知っていましたが、そこから逃げ出すとは想定していなかった」 部屋がピリピリする。 「天羽。総員直ちに向かえと放送しろ。その後はお前も行け」 「……了解」 俺はレーダー室へ行き、総員放送のボタンを押す。 レーダー室は、任務に出ているスパイ達を見張る役がいる所だ。 「統一官:天羽楽より、公安警察スパイ課総員へ。上官:八神湊、高官:山本悠汰、少官:如月大和の標的、50名が銃持ちで渋谷方面へ逃走中。総員標的を殺し、民間人の殺傷阻止及び世の秩序維持をせよ」 レーダー室の司令官が驚く。 「既に起きているんですか」 「ええ。敵の仲間からその情報を得たと」 俺は素早くレーダー室の階段を登り、屋上へ出る。 そして双眼鏡で渋谷方面を覗く。 「終電後で良かったな……!」 人は疎らで、スパイ課が総員で向かえば民間人にこれ以上影響はでないと判断した。 状況を確認し、俺も向かい応戦しようとする。 「天羽さん!何してるんですかー!」 司令官の声が階段下から聞こえ、一気に体が動く。
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