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「八神さん!長官から任務が入りました!」
後輩ーー如月が駆け寄ってきた。
「今回は密輸組織の壊滅です。山本さんと共に組織に入って、あとは好きに殺っしていいそうです」
如月は手にしていた紙を読み上げる。
ピアスに橙の髪色と、公安らしからぬ格好だが彼もスパイ課の一人だーー
公安警察スパイ課「三日月」。
世間の誰にも知られず汚れ仕事をする課。
その内容は外国のスパイや密輸犯の壊滅、爆弾の解除等、幅広い場面で起用されている。
階級、言わばランクは五つに別れ、下から「少官」「中官」「高官」「上官」「統一官」になる。
又各々の階級バッチの紐にも色があり、下から赤、白、黒、紫、金になる。
「万が一襲われても、上官の八神さんがいれば大丈夫っすよね!」
如月に期待されるも、顔を歪めたままである。
「あまり期待するな。片腕骨折に、両足首捻挫だ。幾ら狙撃の腕が良くても撃てなきゃ意味が無い」
如月が目を伏せる。
先日爆弾の解除を手伝った際、一つの爆弾に気を取られもう一つの爆弾に気が付かなかった。
失態だ。
「そうっすよね」
「他人にいつまでも頼っていては半人前のままだ。分かるか」
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