4 山狩り

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結果から言うと、実にアッサリと涼風村の脱出に成功した。民宿ふるさと近くの路肩から出発し、商店街を通り抜けたのだが、商店街には誰もいなかった。時間が午後の八時過ぎであることを考慮すると当然なのだが、追われていたことを考えると、どうも不自然にしか思えない。首無し地蔵達に囲まれた村の入口までアッサリ辿り着いた時は肩透かしを食ったような気がして、拍子抜けしてしまった。 ぼくは芯弥のことが気になり、仲根邸へと戻ろうと思ったのだが、再び命を狙われるようなことになっては堪らない。そのまま行きに着た道を引き返し、帰路へと就くことにした。 峠を登り、行きの休憩で使った東屋の上から夜の闇に包まれた涼風村を見下ろしながら吐き捨てた…… 「ふざけるな」と。
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