女×2.5=母

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午後7時。 仕事を終え最寄り駅に辿りついた。 電車を降り登りエスカレーターに乗る。 『電車の進入進出時の風圧にお気をつけ下さい』の地下鉄特有のアナウンスを聞き、慌ててスカートの余分な布を纏めて押さえる。毎日の事なのにそのアナウンスで仕事帰りの気の緩みから我に帰る。 改札を抜け端によってスマホのグループメールを確認。 [今日は生姜焼き食べたい!] [ たらこスパゲッティがいい!] 浅いため息をつきながら 「また好き勝手な事言ってるよ」と呟きスマホをポケットの中に入れた。 顔をあげ歩き出せば寒さで冷えたアスファルトに固い靴音が鳴る。その音がスーパーの入口に向かう人達の足音と重なり聞こえなくなった頃、頭の中は冷蔵庫の中身を思い出す事でいっぱいになっていた。 「ただいまぁ~」 「「おかえりぃ~」」 食材をキッチンに運びながらベランダを見た。 「あっ美理、洗濯物取り込んでくれた?ありがとう」 「あっ、それ俺」 美理は弟の光輝の返事を聞こえないふりをしているのか、知らぬ顔をしてスマホをいじっている。 「ったくぅ、ところで美理は部屋片付いたの?明後日だよね?荷物の運びだし」 「うん、あともう少し。光輝が手伝ってくれたし」 ふっとため息をつきながら冷蔵庫を開けた。
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