ハイウェイメモリー
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春の夜の風はまだ冷たく、凪いだ夜の海に波は寄せて返す。彼女はもういない。自分で前に進むしかない。 カフェオレの缶が小さく揺れて、かららんと音を立てる。 大丈夫だよ。 彼女がそう言ったように聞こえた。 大丈夫だよ。 自分でもそう呟いてみる。懐かしい故郷の名前の書かれた標識が目に入る。 大丈夫だよ。 もう一度呟いて、料金所へとハンドルを切る。 かららんと、またカフェオレの缶が揺れた。
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