1、私はただの家政婦ですか

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 あっけらかんとそう言う優斗に、私はついに声を荒らげた。 「ごめん。同居はしたくない」  優斗は不機嫌な顔になった。 「最近の紗那、ちょっとおかしいよ。あ、わかった。マリッジブルーだろ? 女って結婚前にそうなるらしいから」  えっ、何言ってんの? こいつ。 「俺は何も紗那に専業主婦になれって言ってるわけじゃない。紗那がやりたいことを自由にさせてやるんだよ。それに、同居すれば母さんが家事も料理もしてくれるって言ってるだろ? こんないい話ないじゃん」  ダメだこいつ、何もわかっていない。 「あのね、義理の親と一緒に暮らして自由にできると思う? ちなみに聞くけど、あなたは私の両親と一緒に暮らして自由にしようなんて思えるの?」  優斗はスプーンで目玉焼きをすくって口に頬張る。いつもの癖だ。 「俺は別に気にしないよ。紗那の両親がいても。まあ、同居は勘弁だなあ。俺は男だし」 「男とか女とか関係ないでしょ?」 「あるよ。俺は長男だし、家を継がなきゃいけないんだから」 「いつの時代よ!!」  昭和かよ! 今は令和だよ!  ついぶち切れて叫んでしまった。  優斗はそそくさとテーブルから離れてトイレに駆け込む。 「紗那、イライラすんなよー。もしかして生理?」 「バカ!!」  ああ……私、本当にこの人と結婚してもいいのかな?
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