9、あの子はクラッシャー系女子

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 新生活が始まった。  大学時代に寮生活はしていたけど、完全なるひとり暮らしは初めてだ。  とりあえず必要最低限のものは揃えて、これからはここから会社へ行く。    朝食を済ませて家を出ると、エレベーターでばったり千秋さんと出くわした。 「やあ、おはよう」  彼は笑顔で挨拶をした。 「おはようございます」  なるべく顔を見ないように、ぼそぼそと挨拶を返す。  どうしても、私は彼とまともに目を合わせることができない。  結局あの夜はそのまま爆睡して気づいたら朝。  私はまた完璧な朝食をいただいて、ゆっくりして帰った。 「それで、考えてくれた?」 「え?」 「俺と付き合うこと」 「えーっと……」  朝食を食べているときに2回目の「付き合う?」を聞かれたのだけどそのまま保留にしている。  別れたばかりなのにもう次の人と付き合うのはどうかと思ったし、だいたい千秋さんは軽い感じだから遊び人のイメージが拭えないのだ。  もう少し彼のことを知ってからでないと先のことは考えられない。  ただ、ひとつだけ付き合いを前向きに考えてもいい理由はある。  相性、最高なんだよね!
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