9、あの子はクラッシャー系女子

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 それは今までにずっと思っていたことだ。  どんなに頑張っても報われなくて、まわりはすごく楽しそうにしてるのに、自分だけどこかに置き去りにされたみたいな虚無感。  今回のことだって千秋さんがいなければ、私は今も虚しさに耐えているかもしれない。  彼との付き合いを前向きに考えられない理由のひとつがそれだ。  ここで付き合っちゃうと彼に依存していることになる。  せめて、自分のことをすべてクリアにして、何もない状態で未来を考えていきたい。  ほぼ満員のエレベーターに乗っていたら、扉が閉まるぎりぎりに女子社員が走り込んできた。 「ごめんなさぁーい、乗りまーす!」  その声にどきりとした。  乃愛だ。  私はガチガチに固まった。  一方彼女は私に気づいているはずなのに、まったく気にするそぶりも見せずにスマホをつついている。  早く到着階に着いてほしい。  そわそわしながらようやく降りる階で停止したらドアが開いた瞬間に、私は思いきり前のめりになった。  乃愛に足を引っかけられたのだ。  そのまま膝から転んでしまい、大勢の前で恥ずかしい格好になってしまった。 「やだぁ、大丈夫ですかぁ?」  サイアク……!!!
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