9、あの子はクラッシャー系女子

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「紗那、大丈夫?」  美玲と数人が降りてから、エレベーターの扉が閉まった。  その際、乃愛はにんまり笑っている顔が見えてゾッとした。 「あの子にやられたの?」 「うん……そうみたい」 「あの子、もしかして山内くんの……」 「浮気相手」  痛む膝を押さえながらどうにか立ち上がる。  膝は少し赤く腫れていたけどひどい怪我はしていない。  ただ、人の前で派手に転んだことが恥ずかしくてたまらない。 「わざわざ挑発してくるなんて最悪じゃん」  美玲はの乃愛が立ち去った方向を睨みつけながら言った。  本当に何なんだろう。  私は別れたのだからもう関係ないのに、なぜあんな嫌がらせをするのか意味わかんない。 「あの子の部署知ってるわよ。言いつけてやろっか?」 「いいよ。どうせしらばっくれるに決まってる。関わらないようにするから」 「それがいいわ。あたしがいるときは守ってあげるよ」 「ありがと」  乃愛に会わないようにすればいい。  そう思っていたのに、彼女はさらにとんでもないことをしてきたのだった。
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