9、あの子はクラッシャー系女子

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 始業後すぐに上司に個室へ呼び出された。  そして事の真相を質問され、私は身に覚えがないと答えた。 「でもね、実際に写真が出回っているし、無視できないよ。今の時代はこういうことに世間も敏感だからね」  上司は困惑しながら話す。  ちょうど私が怒りの表情で問い詰めて乃愛が泣き出したときの、あまりにタイミングのよすぎる写真だ。  まるで狙っていたかのように。 「君の言うことを信じたい気持ちもあるんだが、今の時点では難しいな。とりあえず、噂が静まるのを待つしかないね」 「はい。申し訳ございませんでした」  私の胸中は動揺と混乱で、ただ迷惑をかけたことの謝罪を口にすることしかできなかった。  周囲の痛い視線を感じながらなんとか仕事をこなし、帰り際に1階ロビーでばったり出くわしたのは、乃愛と優斗だった。  優斗は私を見た途端、怪訝な表情で言い放った。 「お前、やり方が汚いよ? そんな卑怯な奴だったっけ?」  私は開いた口がふさがらず、思わず反論しようとしたら、周囲が注目しているのに気づいて口をつぐんだ。  となりで乃愛は口もとに笑みを浮かべて優越感満載で私を見つめていた。  怒りよりも泣きたくなった。  けれどこんなところで泣いても誰も同情などしてくれないだろう。  あんな写真があるから何を主張してもすべて私が悪者だ。  どうしてこんなことに……。
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