10、こんなはずじゃなかったのに【優斗目線】

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 乃愛が嬉しそうにテーブルで箱を開封すると、ピザの匂いが瞬く間に充満した。 「きゃあ、美味しそ―」 「え? お前いつの間にピザ頼んだの?」 「さっき。バッグ買うついでにオーダーしといた」  乃愛は綺麗にネイルした手でピザを掴んで「あーん」と口を開けて食べた。  それを見た優斗はしばらく呆気に取られていたが、次第に表情を歪ませた。 「いや、ピザ頼むなら言ってよ。俺、カップ麺に湯入れたじゃん」 「うん、優くんはそれ食べればいいでしょ。乃愛はピザ食べるから」 「は? なんだそれ」 「これ、乃愛のお金で買ったの。何か問題ある?」  乃愛はピザをもぐもぐしながら2枚目を手に取った。 (まじこいつ、何言ってんだよ? そこは俺に食べるか訊くだろ?)  優斗がじっと見ていても乃愛はまったく気にするそぶりを見せず、次々とピザを頬張った。 (いやいや、訊くだろ? 食べるかってフツー訊くだろ!)  優斗はだんだん苛立ってきた。  しかし乃愛はきょとんとした顔で優斗に訊ねる。 「どうしたの? 優くん。カップラーメン冷めちゃうよ?」  優斗は唖然とした。 (俺にはこれを食えと?)
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