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優斗は絶句し、優斗母は目を見開いて驚愕している。
(嘘だろ? 紗那はすぐに頭を下げて挨拶したぞ? どういう神経してんだ? この女)
ふたりの様子を見た乃愛は、あっと思いついたように声を発した。
「優くんのお母さん、とりあえず座ります?」
乃愛はソファに手を向けて、優斗母に言った。
優斗母は眉を引きつらせながらソファにドカッと座り込んだ。
「優くん、あたしメイクしてくるね」
そう言って乃愛は洗面所へ向かった。
乃愛がいなくなって母がいきなり優斗に詰め寄った。
「乃愛さんは挨拶もできない子なの?」
「そうみたいだ。母さんが教育してよ」
「当たり前よ。山内家の嫁になるなら厳しくしないと」
優斗と母は乃愛と話し合いをする計画を練る。
そして乃愛が着替えを済ませてばっちりメイクをして戻ってくると、優斗は彼女を床に正座させた。
乃愛は意外にもすんなり床に座った。
優斗母がソファに座り、上から見下ろす形になっている。
どちらが優位に立っているか、思い知らせるためだ。
「さて、乃愛さん。あらためて挨拶するわ。あたしは優斗の母よ」
母が優越感満載の顔でそう言うと、乃愛は「ども」と軽く会釈をした。
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