10、こんなはずじゃなかったのに【優斗目線】

9/13
前へ
/299ページ
次へ
「だいたい、優くんもあたしにプロポーズしてないじゃん? それなのに、いきなり親呼ぶの意味不明すぎー」  乃愛が軽い口調でそう言って笑っているところに、優斗母が割り込むようにして叫んだ。 「優斗、これは一体どういうことなの?」  優斗はおろおろしながらとりあえず乃愛を責め立てる。 「乃愛、いい加減にしろよ。俺はお前のために紗那と婚約破棄したんだぞ」  乃愛は肩をすくめてため息をついた。 「あたし、そんなこと頼んでないし。優くんちょっと頭おかしいんじゃない?」  乃愛の言葉に激怒したのは優斗母だ。 「あなた、うちの優斗に向かってなんてこと言うの?」  優斗母が怒鳴りつけるも、乃愛はまったく動じることなく、むしろクスッと笑った。 「優くんママ、子離れできてなくないですかぁ? 恥ずかしー。うちの優斗だってーぷふふっ」  優斗母は怒りのあまり拳でソファを二、三度叩いた。  そして目を血走らせながら優斗に向かって叫ぶ。 「何なの? この子は! こんな失礼な子は見たことがないわ! これなら紗那さんのほうが数倍マシよ!」
/299ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6510人が本棚に入れています
本棚に追加