10、こんなはずじゃなかったのに【優斗目線】

10/13
前へ
/299ページ
次へ
 優斗は母をなだめながら乃愛に詰め寄る。 「乃愛、お前がそんな奴だとは思わなかったよ。いつも俺に寄り添ってくれただろ? 毎日俺に会いたいって言ったじゃないか。どうしてそんなに俺を困らせるんだよ! 俺のことが好きならもっと俺のことを考えろよ!」  すると乃愛は思いきり首を傾げた。 「ん? なんか優くん勘違いしてない? 乃愛は優くんが好きなんじゃなくて、優くんとえっちしたいだけだから」  それを聞いた優斗母が驚愕の表情で固まった。 「え、え、え、え、えええええっ……!」  優斗母は眩暈がしたのか、くらりとしてソファに頭を預ける。 「んな……なんて、破廉恥な……」  真っ赤な顔で狼狽える優斗は乃愛に向かって怒鳴りつける。 「お前、母さんの前でなんてこと言うんだ!」 「だって事実だしぃ」  乃愛はまったく悪びれた様子もなく、綺麗にネイルされた爪を触りながらぼそりと言った。 「優斗! 今すぐこんな子とは別れなさい! こんな非常識な子、お母さんは許しませんよ!」  優斗母は怒りのあまり真っ赤な顔で怒号した。
/299ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6508人が本棚に入れています
本棚に追加