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すぐに優斗から返事がきた。
そこには激怒して脅すような言葉から、泣きついてくるような弱々しいものまで立て続けに何十件も連投された。
【紗那、お前が悪いんだぞ!】
【反省して帰ってこい!】
【恥ずかしい真似はするな!】
【まわりに迷惑かけて楽しいか?】
私が一体何の迷惑をかけたというのだろう?
今まさに優斗のせいで千秋さんに迷惑をかけているのは事実だけど。
【いいのか?このままだとお前は会社にいられなくなるぞ?】
もしかしたら私のことを誇張して会社で言いふらすのかもしれない。
私は今、社内で立場が悪くなっているから、優斗はそれを利用するだろう。
私をさらに孤立させて誰にも頼れなくなったところで優斗が甘い言葉をかけてくる。そして私が逃げられないようにするのだ。
と千秋さんが言った。
「どうしてそこまでわかるんですか?」
私が訊ねると彼は冷静に答えた。
「こういう思考回路の人間はだいたい同じことをするんだよ」
「千秋さんの知り合いの方も?」
「……本当に厄介だった。俺の従姉なんだけどね」
「え? じゃあ、私にマンションを貸してくれた人が?」
「ああ。今は誠実な人と再婚して幸せに暮らしてる」
そう言って彼は柔らかく微笑んだ。
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