11、元カレがロミオになった

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「最後にもう一度だけ言います。私たちは別れたんです。都合のいいことを言わないでください。私は絶対に戻りません」  強い口調で告げると、私の様子に通りがかりの人がチラ見していった。  しかし優斗はまったく気にする様子もなく感情的に私に迫ってくる。 「紗那、わがままを言うなよ! お前のせいでみんなが迷惑してるんだぞ」  みんなって誰よ。あなたとあなたの母親でしょ?  こっちはあなたのせいで他の人に迷惑がかかっているというのに。  などと言っても通用しないので、私はため息をついて短く返答する。 「もういいですか? 遅刻するので」  そう言って優斗の横を通り過ぎようとしたら、彼に腕を掴まれた。 「いい加減にしろ、紗那。戻らないとどうなるか……」 「ちょっと、放し……」  次の瞬間、私の腕を握っていた優斗の手が離れた。  同時に、背後からすらりと背の高い男性の姿が現れる。 「いい加減にするのは君だよ」 「千秋さん!」  千秋さんが優斗の腕を掴んで立っている。  けれど、彼はいつの間に近くにいたのだろう?  だって、マンションを出るときは会わなかったのに。
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