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「誰だろ? すっごいビジュアルよくない? あんな人いたっけ?」
「さあ……?」
私と美玲は歩いて去っていく男性のうしろ姿を目で追った。
すらりと長身でさっぱりした短髪に、細身のスーツが足の長さをこれでもかと強調する。
「ああーっ、惜しい! 顔見たかったあ。絶対かっこいいと思う」
「……そうかな? 外見が綺麗だから顔も綺麗とは限らないよ」
「紗那って男を顔で選ばないタイプだよね?」
「それって優斗がかっこよくないって言いたいわけ?」
「いやまあ、すっごいイケメンではないよね。フツー?」
「それでいいよ。イケメンの人って性格悪いイメージ」
「あんた、過去に何かあったの?」
「……別に」
実は大学時代に少しだけ付き合った男性が顔立ちの整った人だった。
付き合い始めた頃は周囲から羨望の目で見られていたので、私自身もまんざらでもなかったのだけれど。
彼は同時に3人の女と付き合っていた。
結局3ヶ月で別れた。
そのときから、顔のいい男には必ず裏があると思っている。
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