12、決着つけましょう

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「それでは総仕上げといこうか」  千秋さんはテーブルの上で両手を組んで私をまっすぐ見つめて言った。  私は彼と向かい合って座り、コーヒーを飲みながらこくんと頷いた。  週末の午後、私たちは今後のことを話し、行動に移すことにした。 「いろいろ助けてくれて、ありがとうございました」 「礼を言うのはすべて解決してからでいいよ」 「あなたに出会えていなかったら、きっと私は今までと変わらない生活だったと思います。だから、そのことのお礼をまずは言います。そしてあの親子と完全に縁切りできたら、またお礼を言います」 「そっか。じゃあ、そのときは寿司でお祝いしよう」 「私のおごりで」 「それは楽しみだ」  千秋さんは好きな寿司ネタが玉子だと言うので、意外に可愛いなと思い、微笑ましく思った。こんな他愛ない話で盛り上がっていたところで、自宅のインターホンが鳴った。  千秋さんは知人の弁護士を呼びつけていた。  千秋さんは玄関先で挨拶を交わし、弁護士の知人をリビングに招いて私に紹介してくれた。 「前から話していた弁護士の川喜多(かわきた)さんだよ」
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