12、決着つけましょう

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 タイミングよく私のスマホに優斗の母から電話があった。  私が躊躇していると、川喜多さんが言った。 「スピーカーにして電話に出てください。僕は録音します」  そう言って、川喜多さんはすぐさまボイスレコーダーを取り出し録音ボタンを押した。  私が電話に出ると優斗母の声が高らかに響いた。 『紗那さん、あなた浮気していたんですってね?』  耳をつんざくほどのうるさい声に、私は目を見開き、千秋さんは半眼で険しい顔になったが、川喜多さんはまったく表情を変えず紙にペンを走らせて私に見せた。 【適当に会話してください】  私は言われた通り、優斗母に返事をする。 「私ではありません。浮気をしたのは優斗くんです」 『優斗から聞いたわ。あなたに別の男がいるってね。まだ婚約は解消していないのに他の男といるなんて不貞に決まっているでしょ!』 「都合のいいことを言わないでください。優斗くんが私に出ていけと言って、浮気相手を家に連れ込んだ優斗くんに私はしっかり別れを告げたんです。それで私たちの関係は終わっています」 『またそんなことを言って話をややこしくしないでちょうだい』 「話をややこしくしているのはそちらではありませんか?」  私がやや感情的になって言い返すと、私のとなりで千秋さんが肩を抱いた。  それで少し落ち着いた。
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