12、決着つけましょう

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 私は思い切って千秋さんに訊いてみることにした。なぜ、私をこんなに助けてくれるのか。私に新しい居場所を与えてくれるのか。  ただ、従姉と似た境遇だから助けたというには、あまりにも特別扱いしてくれるから。あれこれと思い悩むよりも、すべてを聞いてすっきりしたかった。  その夜、私たちはソファにとなり合って座り、少しワインを飲みながら話した。そうしたら、意外なことを彼は口にしたのだ。 「え? 5年も前に私たちは会っているんですか?」 「正確にはもっと前。君を初めて見たのはパーティのときだった」  毎年1月にグループ会社全体の新年祝賀パーティが盛大に開かれる。  どうやら私はそこで飲み物を配っていて、手に何も持っていなかった千秋さんにシャンパンのグラスを渡したようなのだけど、正直覚えていない。  だって、手ぶらな人にグラスを渡したのは千秋さんにだけじゃなかったから。 「すみません、記憶になくて……」 「そうだろうね。君は俺にまったく興味を持たなかったから」 「え……ごめんなさい。だって、知らない人だったらそんなもんでしょ?」  だいたい挨拶も交わしていないのだ。普通はお互いにすぐ忘れちゃうものじゃない?
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