12、決着つけましょう

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「君と知人のバーでとなり合わせたとき、奇跡かと思ったんだ。言い方は悪いけどチャンスだと思った」 「……正直ですね」 「気になっていた女性が困っている。助けたいと思うのが男心というものだ」 「そうですか。ありがとうございます」  そのことについては本当にありがたいと思っている。  ただ、ここ最近いろんなことが起こり過ぎて私の頭が追いついていない。  ゆっくり千秋さんのことを考える余裕がない。 「その……付き合うっていう話なんですけど……」  その場のノリで言っていたように聞こえるけど、そこまで想ってくれていたなら私もちゃんと考えなきゃいけない。 「まだ……心の整理ができていなくて」 「大丈夫。まずはすべてクリアにしよう。それから考えてくれればいいよ。ゆっくり待つから」  そんなふうに言われても、かえって申し訳ない気持ちばかりが膨らむ。  そこまで想われるほど魅力のある女だと自分では思えないからだ。 「その、もし他に気になる女性ができたら、そちらへ行っても……」  おずおずと小声でそう告げると、彼は思わぬ返答をした。 「実は俺、この5年間誰とも付き合っていないんだ」 「ええっ!? 嘘でしょ! そんなまさか」 「自分でも諦めの悪い奴だと思っている。結果的に諦めなくてよかった。君ともう一度チャンスがあるなら」  千秋さんはちょっと酔っていて、やけに嬉しそうに語った。
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