12.5 ~CHIAKI side 。:.゚。+。 ゚+.

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12.5 ~CHIAKI side 。:.゚。+。 ゚+.

 千秋はひとつだけ紗那に後ろめたいことがある。  5年以上前に紗那と初めて会って気になったことは事実だが、知人のバーで奇跡の再会を果たしたのは嘘だ。  あれは計画的なものだからだ。  あのバーに紗那が頻繁に訪れることを千秋は知っていた。なので、バーの店長にそのことを伝えて、紗那が来たら連絡してくれるようにお願いしていた。  そうやって、千秋は紗那が来店時に店を訪れ、カウンターテーブルの隅っこでこっそり紗那を眺めて過ごした。  紗那は友だち同士で訪れることもあったし、会社の同僚と一緒のときもあった。そして、山内優斗と一緒に来たこともある。  あるときは優斗が酷く酔っぱらっており、他の友人たちに罵詈雑言を浴びせていた。困惑する友人たちに、紗那が代わりに謝っていた。  そんな紗那を見て思ったものだ。 (俺ならあんな恥ずかしい醜態を見せて彼女を困らせたりしないのに)  そんな思いを抱きながらも、彼は遠くから見ていることしかできなかった。
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