12.5 ~CHIAKI side 。:.゚。+。 ゚+.

3/4
前へ
/291ページ
次へ
 紗那に恋人さえいなければ、さりげなく近づいて知り合いになって少しずつ距離を縮めることもできたかもしれない。  結婚前ならパートナーを奪っていいという考えの者もいるようだが、千秋は従姉の件もあってそんな気にはなれず、紗那を忘れる努力をした。  意外と真面目で一途だと店長は言ったが、彼はそれ以上に疑問があったようだ。 「どうして“紗那ちゃん”でないとだめなんだ?」 「彼女は大和撫子なんだよ」 「うーん、たぶん他にもいると思うよ? そういう子」 「彼女は心が優しく信念がある。責任感も強いし、何より笑顔が可愛い」 「ベタ惚れだな」  その後、千秋は酔った状態で紗那に惚れ込んでしまった経緯を語り出した。  パーティで出会った日からこっそり彼女のことを調べ、尾行し、あらゆる事実を知った。彼女は家庭環境が複雑だが、他人に対して優しく、通りがかりの老人が困っていても助けになる。そんな場面を幾度か見かけた。  仕事に真面目でストイックな分、出世も早く、同僚から嫉妬の目を向けられているようだが、それでも彼女は負けん気で勤めている。  誰もいなくなったオフィスで深夜まで働いている彼女の姿をドアの外から眺めていたこともある。  そしてプライベートでは買い物姿や外出先などで
/291ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6411人が本棚に入れています
本棚に追加