12.5 ~CHIAKI side 。:.゚。+。 ゚+.

4/4
前へ
/290ページ
次へ
「いや、お前それストーカーだぞ!」 「失礼だな。自宅までは行ったが郵便受けは覗いていない」 「当たり前だ! ていうか自宅に行ったのかよ」  千秋は店長の突っ込みを無視して虚ろな表情でため息をついた。 「俺の願いはただ、彼女に幸せになってほしいだけだ。たとえ別の男の子どもを身ごもっていたとしても」 「無理するなよ。言葉の端々に嘘っぽい感情が出ているぞ」 「はぁ……もっと早く出会いたかった」  千秋はその日、失恋記念として酔い潰れるまで飲んだ。そして店長は朝まで付き合わされたのだった。  ところが予想外のことが起こる。  千秋は山内優斗が別の女と一緒にホテルへ入るところを(本人いわく偶然)目撃したのだ。  それから千秋は何かに目覚めたように、知人の探偵に依頼して山内優斗について調べまくった。  優斗は1年以上前から不貞をおこなっていた。それもひとりではなかった。紗那が残業のある日にたまたま同僚に誘われてガールズバーに行ったことが発端となり、彼は金を使って遊ぶようになった。次第に知り合った女の子とホテルに行ったり、遊んだりと相当金を使っているようだった。  紗那に親との同居を推し進めているのも自由に使える金がほしいからだ。 「こんな奴に彼女の人生を狂わされてたまるか!」  千秋の怒りが爆発した瞬間だった。この日から彼は入念に計画を練って紗那に近づいていく。
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6407人が本棚に入れています
本棚に追加