13、これで本当にさようなら

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 すべての話し合いが終わろうとしているところだった。ずっと黙り込んでいた優斗母が急に声を上げたのだ。 「どうして? こんなの納得いかないわよ」  全員が優斗母に目線を向けると、彼女は怒りの形相で声を震わせながら叫んだ。 「どうして紗那さんだけこんなに優遇されるのよ?」  優斗母の発言に意味がわからない私はただ眉をひそめる。  すると彼女はバーンッと勢いよく両手をテーブルに叩きつけた。 「あたしはお父さんに浮気されてもひたすら耐えてきたのよ!」  その発言に優斗父が仰天した。 「お前、何を言い出すんだ?」 「だってそうでしょう? 不倫は男の甲斐性だってあなたのお義母(かあ)さんが言ったのよ! あたしはずーっとお義母さんにお前が悪いって責められて、あなたの不倫を許せと言われてきたのにどうしてなのよ!」 「そ、それは今関係ないだろう」 「あるわよ! あたしは耐えたのにどうして紗那さんは耐えられないの? こんなの理不尽だわ!」  優斗母はわざわざ私を睨みながらそう言った。  だけど、自分がされて嫌なことを私にも強要しようとしてたなんて、ただの身勝手で同情の余地もない。
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