13、これで本当にさようなら

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 川喜多さんがスマホを通話状態にしておいたのは千秋さんからのお願いだったらしい。山内家の異常なまでの私への執着に、ひどく心配した千秋さんは何かあったらすぐに警察を呼ぶつもりだったようだ。 「だから外で話し合いをすべきだと言ったんだ」 「そうすると彼らは本性を出さないでしょう。世間体が何より大事な人たちですからね。おかげでたっぷり証拠もゲットできましたよ」  川喜多さんはスマホに収めた優斗母のご乱心の写真を千秋さんに見せつけた。 「紗那が怪我をしたらどうするつもりだったんだ?」 「僕の鞄は頑丈なので、とっさに防ぐことができますから」 「そういう問題じゃない。紗那を危険な目に遭わせたことには変わらないだろう」 「依頼者の身の安全は保障しているつもりです。これでも僕は護身術を身につけています」 「だが、紗那に恐怖を与えてしまったことは君の失態だぞ」 「そのことについては謝罪します。しかし、千秋くんは紗那さんのことになるとずいぶん感情的になるんですねえ。面白っ」  川喜多さんは真顔で口もとを押さえてふふっと笑った。
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