13、これで本当にさようなら

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 真っ赤な顔で黙り込む千秋さんを放置して、川喜多さんは私に目を向けた。 「紗那さん、お疲れさまでした。もう山内家の連絡先をブロックしてもいいですよ。もし別の手段で接触してきたら法的措置を検討しましょう。ですが、もうその心配はなさそうですね」  山内家は今後、私のことより自分たちの家庭のことで頭を悩ませることだろう。私がきっかけにはなったけど、いずれ彼らはそうなる運命だったのかもしれない。 「本当に、ありがとうございました」    私は頭を下げて礼を言うと、川喜多さんはぺこりとお辞儀をして「それでは」と短く挨拶すると自分の車を停めた駐車場に行ってしまった。  私は千秋さんの車で帰宅することになった。  帰る道中車内で私はぼんやりしていた。すべてが終わったはずなのに、まだ落ち着かないからだ。  私がだんまりだから、千秋さんが話しかけてくれた。 「今日は疲れただろう。お腹減ってる?」 「えっと、あんまり……」 「そうか。じゃあ、帰って何か軽い食事でも作ろうか」 「それは申し訳ないです」 「いいよ。今回俺は何も役に立っていないから」  千秋さんは苦笑しながらそう言った。  そんなことないのに。私のことをずっと気にかけて、心配してくれて、そばにいてくれた。それだけでもずいぶん救われている。
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