13、これで本当にさようなら

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「そんなことないです。千秋さんがいたから、私はあの状況から抜け出せたんです。本当に、感謝しています」 「そっか。嬉しいな」  私がちらりと目を向けると、千秋さんはまっすぐ前を見たまま嬉しそうに微笑んでいた。  その横顔がすごくかっこよく見えて、不覚にもドキドキした。  千秋さんが私の視線に気づいてちらりと横目で見た。  私はどきりとしてとっさに目をそらしてしまった。   「どうかした?」 「いいえ。あの、山内家のことが少し気になって……」 「彼に情がある?」 「いいえ、それはないです。けど、あんなことになってしまって、ちょっと複雑な気分です」  山内家が今後どうなっていくのか不安な気持ちが拭えない。もう私とは関係ない家だけど、私のことがきっかけでこうなったなら少しばかり責任を感じてしまう。  けれど、そのことを吐露したら千秋さんはさらりと言った。 「あの家の問題と君は無関係だよ。君のことがなくても、あの家はいずれ崩壊する道を辿っていた。それが早まっただけさ」 「そう、ですね」  誰かからそう言ってもらえると、少し心が軽くなる。  千秋さんはいつも私の心を救ってくれる言葉をくれる。  じわりと胸が熱くなって、私は安堵の笑みがこぼれた。
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