14、一難去ってまた

2/15
前へ
/287ページ
次へ
 あれから優斗はめっきり大人しくなった。  社内で会うことはないけど人づてに聞いた話では、部署内で肩身の狭い思いをしているようだ。  私との婚約破棄の噂が格好のネタになっていることが原因みたいだけど、それは私にも少なからず影響があった。話したこともない社内の人からひそひそ噂されたりしているから。  特に千秋さんが私と付き合ってる宣言したときにその場にいた人たちからは、私が浮気して優斗を捨てたと思っている人もいるらしい。  それでも噂に過ぎないのだから、私は堂々としていればいいだけ。  好奇の目で見られることも最初だけだろう。他人の噂話なんて一時的なものだから。 「と言いつつ、結構ダメージ受けてるわね」  居酒屋で3杯目のビールを飲み干したところで美玲に言われた。  金曜日の午後、久しぶりに美玲と飲みに来たのは、やはり私が愚痴をこぼしたかったからだ。美玲は無事別れたお祝いの飲みだと言って誘ってくれたけど、私はビールを飲み始めてからずっと愚痴っている。
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6352人が本棚に入れています
本棚に追加